旧暦四月の異名「卯月」の由来|卯の花の正体に迫る【暦×由来】

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旧暦四月の和風月名である卯月。

 

 

卯月の由来には諸説あるものの、卯の花の咲く頃を意味しているという説が有力です。

 

 

そして、空木の花=卯の花であるように言われることもあります。

【暦×呼び名】日本独自の月の異名|由来と意味
和風明月は睦月、如月といった旧暦の異名です。現在の暦とは1ヶ月程度ズレているものの、一つ一つに意味があり、その由来をたどると古来の日本人の暮らしが見えます。例えば睦月は、仲睦まじく集う意味があり、正月の様子を的確に表しています。

 

 

 

しかしこの説は、平安時代に清少納言が著した枕草子を参照すると、否定せざるを得ません。

 

 

 

卯月の由来を平安の書物に見る

photoACより(miki様画像) 

枕草子の中で清少納言は、このように述べています。

 

 

「卯の花の垣根ちかうおぼえて、ほととぎすもかげにかくれぬべくぞ見ゆるかし。(中略)うつぎ垣根といふものあらあらしくおどろおどろしげに、さし出でたる枝どものおほかるに・・・」

 

枕草子222段

 

清少納言が描いた卯の花は、棘のある植物です。

 

 

しかし空木に棘は生えていません。

 

 

また同じく平安時代の書物、本草和名に「楊盧木、空疏、宇都岐」という記載が。

さらに和名抄には、「溲疏、楊樝、宇豆木」という文字が残されています。

 

 

空疏と溲疏は、茎の内側が空洞になった形状をしており、その中を養分が流れる木、の意です。

 

  

楊はヤナギ科の植物を意味します。

春になると葉に先立って黄色がかった白色の花をつけるのが特徴です。

そして1年中密に葉が茂ることから、垣根として重宝されてきました。

 

 

清少納言が記した「うつぎ垣根」と合致します。

 

 

なお楊盧木は嫵之花(解語の花)と書かれることも。

 

 

嫵之花(解語の花)は、中国の故事の中で唐の玄宗皇帝が楊貴妃の美しさを表現するために使った言葉だとも言われています。

 

 

 

卯の花=おからの異名でもある

https://pixabay.com/images/id-5966853/

大豆から豆腐を作る際にできる、おからという食べ物があります。

 

photoACより引用(piyoyooon様画像)

 

 

 

 

このおからの異名が卯の花です。

 

 

おからの様相が卯の花に似ているところから転じたと言われています。

 

 

つまりおからの姿形に似た花こそが、卯の花であると言えるでしょう。

  

 

そこでヤナギの花と比較してみましょう。

 

 

ヤナギには世界で約350種もあると言われています。

その中でも垣根に使われることが多く、春から初夏にかけて花開く雪柳の画像を最初に参照します。

 

photoACより(えーちゃんフォト様画像)

 

 

 

なお雪柳は正確にはヤナギ科ではなくバラ科の植物です。

可憐で美しい花に比べると枝はかなり硬く、素手で触ると傷ついてしまうほど頑強な点も、清少納言が描いた卯の花を連想させます。

 

 

 

そして、空木の花がこちらです。

 

photoACより(サトチ様画像)

 

やはり卯の花=ヤナギとする方が妥当、と考えられます。

 

 

 

 

  

いずれにせよ、卯月という優雅な言葉には、初夏の美しい自然への畏敬の念が込められているように感じられてなりません。

 

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